The Making of Modern Law: Landmark Records and Briefs of the U.S. Courts of Appeals

本シリーズは、1891年から1983年までの期間にアメリカ合衆国控訴裁判所 (United States Court of Appeals) に下級審より提出された膨大な控訴趣意書（控訴人主意書、被控訴人趣意書、法廷助言者意見書、反対訴答）、添付書類、意見陳述書、申立書、控訴記録より、特に重要な事件に関するものを精選するものです。年代・テーマ別の３部構成で、総計約200万ページを収録します。

形式上は三審制を採るアメリカ連邦裁ですが、実際には最高裁への上訴はその大半が棄却されるため、控訴裁判所が実質的な最終審であることが多く、その取扱い訴訟数は極めて膨大です。しかしながら、その控訴過程において提出される膨大な趣意書・意見書等の参考資料は、歴史的な記録としての価値にかかわらず、保管責任の所在があいまいであるため消滅の危機にありました。本企画はそれらの重要資料を少しでも多くデジタル化し、研究者の利用に供する目的で企画されたものです。

また、すでにデジタル化されているアメリカ合衆国最高裁判所上訴趣意書・文書集（U.S. Supreme Court Records and Briefs 1832-1978）と合わせて見ることにより、特定訴訟事件の審理過程を詳らかにする事ができます。下級審における証言者の供述録や両当事者の議論、提出された証拠類や参考資料などは法的な見地のみならず、社会史・政治史・経営史など学際的に活用されることが期待されます。

控訴裁判所の12巡回区のうち、特に下記の区のものを多く精選しています。

• ＤＣ巡回区（ワシントンＤＣ）：憲法・行政法関係の事件の取り扱いが多い
• 第２巡回区（ニューヨーク、コネチカット、バーモント州）：最も影響力が大きく、特に商法・著作権法で引用数が多い
• 第９巡回区（カリフォルニア、ワシントン、オレゴン、ネバダ、アリゾナ、アイダホ、モンタナ、アラスカ、ハワイ州、グアム、北マリアナ諸島）：巡回区のうち最もリベラル寄りとされる

^{現在の控訴裁判所の12巡回区（Source: Administrative Office of the U.S. Courts Web Page)}

本データベースは、年代・テーマ別の３部構成となっております。

• Part I: 1891–1950

• Part II: 1950–1980

• Part III: Key Issues from 1907–1983

Part I および Part II はローレビュー等で引用数の多い事件を中心に選定し、Part III では I, II との重複を避けつつ、今日的な人権・社会問題に関連する事件を中心に選んで収録しています。

Part III で取り上げられているトピックの例：

児童・学生の権利／有色人種コミュニティ／犯罪と刑罰／障害／差別／環境政策／言論の自由／銃規制／健康と公共安全／移民と市民権／先住民／LGBTQ+の権利／国家安全／政治的急進主義／信教の自由／性と生殖の権利／投票権／労働者の権利 など

《MOMLシリーズについてのウェビナー録画をみる》

^{（本モジュールについての説明部分から再生されます。約39分・チャプターあり、スライドはこちら）}