banner image MOMWって何ですか?

MOMWってなんですか ?

 

経済学史・経済史古典文献集成(The Making of the Modern World, MOMW)は、ゴールドスミス、クレス、セリグマンという世界の経済学三大コレクションをデジタル化し、同じインターフェースからアクセスするデータベースで、8万7千冊以上を搭載します。近代国家の萌芽が現れ、資本主義が勃興した初期近代から、政治経済制度が大きく変質する第一次大戦までの約500年間の近代史へ誘う比類のないデータベースです。

ルネサンスと宗教改革と地理上の発見で特徴づけられる15世紀から16世紀にかけて、ヨーロッパは時代の大きな転換点を迎えていました。近代国家の萌芽が現れ、資本主義が勃興します。その後、もう一度、時代の大きな転換を迎える20世紀初頭までを、一つのまとまりをもった時代(=「近代」)としてとらえることができます。さらに、15世紀から20世紀初頭までの近代をフランス革命と産業革命が起こった18世紀後半を時代の分水嶺として、18世紀後半以前を初期近代、以後を近代と呼ぶこともあります。

MOMWは、15世紀から20世紀初頭までの近代の歴史をその時代に刊行された刊行物を通じてアプローチするためのデータベースです。15世紀から16世紀のかけての時代は、現在政治学や経済学と呼ばれる学問が形成され始めた時代です。18世紀にはジェームズ・ステュアート、アダム・スミスらによって、経済学の時代の幕が切って落とされました。MOMWが収録するのは、経済学を中心とする社会科学の文献、7万8千冊以上です。

8万7千冊で500年間の近代史をカバーできるのか、疑問に思う人もいるでしょう。MOMWは、ゴールドスミス文庫、クレス文庫、セリグマン文庫という三つのコレクションをマイクロフィルムからデジタル化したものです。社会科学のコレクションは他にも沢山あります。しかし、数多くの社会科学のコレクションが時代の厳しい審判に晒され、優劣をつけられた結果、この三つのコレクションが最も学術的価値の高いコレクションであるとの評価が今では確立しています。20世紀を代表する経済学者ケインズも、この三つを経済学の三大コレクションであると、お墨付きを与えています。ここに収録されるタイトルは珠玉のコレクションなのです。

ゴールドスミス、クレス、セリグマンのコレクションが一つのインターフェースでいつでもアクセスできるというのは、研究者にとっては少し前には夢のような話でした。でも、それがMOMWという形で実現したのです。

同時多発テロ、世界的金融危機、中国をはじめとする東アジア経済の勃興など、現在、世界は歴史的な転換期を迎えています。このような時こそ、超長期を見渡す歴史的視点が求められます。近代世界の成立史が刻み込まれたMOMWは、このような視点を提供してくれる格好のデータベースです。