The Sunday Times Historical Archive, 1822-2016
イギリスを代表する日曜紙『サンデー・タイムズ』の1822年創刊から2016年までの全号を原紙に忠実に再現するデータベースです。
「日曜紙」というイギリス独特のジャンルの歴史は古く、19世紀初頭には最新の印刷技術をいち早く取り入れることで価格を下げ、都市に急増しつつあった労働者階級を読者として取り込むことにより、購読者数を増やすことに成功しました。日曜紙の記事が犯罪、スキャンダル、スポーツに大きなウェートを占めていたのも、労働者が主要な読者層の一つであったためです。
19世紀の『サンデー・タイムズ』も例外ではなく、通常の政治、経済、社会関連の報道に加え、犯罪、ゴシップ、スポーツに紙面の多くを割いていたという点では他の日曜紙と同様ですが、ロンドンを中心とする演劇、コンサート、オペラ、出版関係の最新動向を追跡し、劇評、コンサート評、オペラ評、書評も多数掲載しており、19世紀文化史の貴重な証言者でもあります。
1962年からは最新の文化情報を伝えることを目的として、『Sunday Times Magazine』という補遺がスタートします。補遺といっても別冊ではなく、『サンデー・タイムズ』紙上に言わば「新聞の中の新聞」として組み込まれました。著名な作家による記事と世界的な写真家の撮影する写真で構成された洗練された文化記事は、短命で終わるとの同業者からの冷ややかな声を打ち消し、読者から好評をもって迎えられ、他紙の追随するところとなりました。
また1963年、Insight Team(調査チーム)を発足させた『サンデー・タイムズ』は、入念な調査と緻密な分析により事件の背景を掘り下げる調査報道で知られるようになりました。とりわけ、妊婦の睡眠薬服用による薬害問題を10年にわたり追究した1960年代のサリドマイド薬害報道、イギリス情報機関のメンバーがソ連の二重スパイだったことを明らかにした1960年代のフィルビー事件、元技術者による暴露を発端とする1980年代のイスラエル核兵器開発疑惑、1990年代初頭の英国による対イラク武器密輸疑惑、民間企業の便宜を図り議会で質問した英国下院議員の収賄事件などが有名です。
政府の干渉から報道の自由を守りぬく姿勢を貫き、一方で急増する労働者階級の関心に応えるためにゴシップや犯罪記事に傾斜した19世紀を経て、20世紀に入り購読者増加を巡る競争の激化と新興メディアの登場の中で時代に相応しい編集方針を問い続けてきた『サンデー・タイムズ』の歴史は、イギリス日曜紙の歴史を集約しています。
アーカイブ参考資料:Sunday Times 物語
(『サンデー・タイムズ』にまつわるエッセイ集 )
*1978年12月3日~1979年11月11日の期間は労使紛争で本紙の発行が停止されたため、収録されておりません。
《The Times Digital Archive / The Sunday Times Historical Archive*》ウェビナー録画を見る
※ 『サンデー・タイムズ』歴史アーカイブ および 『タイムズ』歴史アーカイブ の2商品を紹介するウェビナーです。(約35分・字幕・チャプターあり、スライドはこちら)
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