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川島佑介先生、伊藤潤先生にGALE EBOOKS についてお話を伺いました

 

 名古屋大学

レファレンスを使う最大の目的は、 先行研究を調べることと、 専門用語の定義を確認することです。

実施日:2015年12月9日 
ゲスト:川島佑介先生・伊藤潤先生 
機関:名古屋大学 
協力:極東書店 
トピック: Gale eBooks 


 

最初に、伊藤先生と川島先生の研究分野を簡単にご紹介いただけますか。

伊藤先生専門は米国の安全保障、危機管理です。研究テーマは、第二次世界大戦以降の米国における国防制度および緊急事態管理制度の歴史的変遷です。現在は、連邦政府の大規模災害対策を担当している連邦緊急事態管理庁(FEMA)の創設過程について研究を進めているところです。また最近では、米国の災害対策に関する研究をベースにして日本の防災、危機管理制度に関する研究も行っています。

川島先生都市政策を研究しています。80年代の都市再開発から世界都市ヘの変遷というテーマで研究してきました。研究員としては、伊藤先生と協力して、防災政策を研究しています。伊藤先生がFEMAの設立についての研究をしているのに対して、私はFEMAの運用に注目して、米国の防災政策のソフト面、さらには防災政策の日米比較というテーマに関心を持っています。

 

今回、小社のGale eBooksをトライアルでお使いいただきましたが、Gale eBooksというeブックのプラットフォームのことはご存知したか。

伊藤先生 はい、知っていました。2012年にアメリカに留学したとき、初めて知りました。アメリカではeブックや電子ジャーナルが相当に普及していて、大学図書館の検索サービスを使ってキーワード検索をかけると、雑誌論文やeブックがヒットしますが、その中にGaleのeブックも含まれていました。

 

今回のトライアルではGale eBooksに搭載されているすべてのeブックをお使いいただきましたが、お使いになってどのような感想をお持ちになりましたか。

 

GVRLは、紙媒体のレファレンスが持っていた機能性とウェブの検索性を兼ね備えたハイブリッドの役割を果たしているサービスです

 

伊藤先生 率直な印象としては、もう紙媒体のレファレンスは使いたくないですね(笑)。大学図書館には、事典や辞典、参考図書など、数多くのレファレンスが所蔵されていますが、近年利用者が減少していることもあって、図書館の隅や地下に追いやられ、代わりにラーニングコモンズのような共同学習スペースが設けられています。背景には、おそらくスマートフォンやタブレットなどの携帯端末の普及があります。ウェブで検索していくということが当たり前になりました。しかも、紙媒体で提供されていたレファレンスのような資料も、eブックやデータベースのような有料電子リソースや無料のウェブ情報として提供されています。既存の紙媒体が果たしてきたのと同じ、あるいはそれ以上の機能をウェブが提供するようになってきた。しかし、私もGoogleで検索しますし、Wikipediaも見ますが、ウェブの情報は必ずしも正確とは限りませんし、古いデータもたくさんあります。その点、Gale eBooksは、紙媒体のレファレンスが持っていた機能性とウェブの検索性を兼ね備えたハイブリッドの役割を果たしているサービスです。大学図書館から研究者、学生まで、大学に所属している人が抱えている問題を解決するリソースとして非常に魅力的なツールだと思います。

 

Gale eBooksの特徴と利点を簡潔に、的確にご指摘いただきました。そのまま、セールストークに使えそうです(笑)。お使いになって、興味を持たれたタイトル、頻繁にお使いになったタイトルはありますか。

 

伊藤先生 自分の専門分野に関係するものですが、Encyclopedia of Crisis Management(Sage)

Encyclopedia of Disaster Relief(Sage)といった危機管理関係のレファレンスをよく使いました。

 

このレファレンスはGale eBooksをお使いになる前からご存知でしたか。

伊藤先生 知っていました。実は、このレファレンスはGoogle Booksで検索するとヒットします。SageはGoogle Books上で一部を公開しているため、その部分だけはウェブ上で読むことができるのです。

 

GVRLをお使いになって初めて知るレファレンスはありましたか。

伊藤先生 今回、もう一つよく使ったタイトルで、Wiley

Handbook of Science & Technology for Homeland Security

(Wiley)というのがあります。国土安全保障の技術的側面に関する百科事典のようですが、これは知りませんでした。

 

eブックのプラットフォームは、小社のGale eBooksの他にも、いくつかあります。eブックは、PDF形式で閲覧するプラットフォームが多いと思いますが、GVRLはPDF形式に加え、ウェブのテキスト形式でも閲覧できるというのが、大きな特徴です。今回、お使いになってどちらで閲覧しましたか。

伊藤先生 検索結果が表示されるときの形式はHTML形式ですから、検索結果の内容の確認は、HTMLで行なっていました。ただし、それを研究で使用するとか、他の形で使っていくときはPDF形式でダウンロードし、オフラインで閲覧しました。これには理由がありまして、平素から研究資料を基本的にデジタル化してPDF形式で保存し、それをテーマ別にフォルダーを作って保管しているためです。ですから、HTML形式よりPDF形式の方が使い勝手が良いということがあります。それに、研究論文等で引用する場合、論文の読者が必ずしも、Gale eBooksにアクセスできるとは限らないわけです。そうなるとやはり、紙媒体でどういうふうに表示されているかということを確認しておく必要性もあります。

 

Gale eBooksには、印刷、メール送信、ダウンロードから、書誌の生成とエクスポート、ハイライト機能、メモ機能、さらには音声読み上げ機能、自動翻訳機能など、様々な機能が備わっていますが、どの機能をよくお使いになりましたか。

伊藤先生 一番使ったのは、書誌の生成とエクスポート機能です。

 

それは、論文で引用することを想定して、ということでしょうか。

 

書誌生成を同一画面上のウェブブラウザ上でやってくれるのは非常に便利でした

 

伊藤先生 それもありますが、もともと情報を集めるときに出所の記録を残しておくことにしています。ですから、書誌生成を同一画面上のウェブブラウザ上でやってくれるのは非常に便利でした。検索して興味あるタイトルがヒットする度に、HTMLで確認し、PDF形式で閲覧し、書誌を生成して、その記録を取っておくということをやっていました。閲覧形式について言えば、PDF形式でなく、HTML形式で充分だという利用者は多いと思います。特にデータとして使いたいという利用者です。そのような場合には、ハイライト機能やメモ機能はかなり有意義なツールだと思います。それから面白い機能としては、音声読み上げです。この機能が備わっているeブックのプラットフォームは少ないと思いますが、英語学習に使えるのではないでしょうか。

 

音声読み上げ機能は、初めてですか。

伊藤先生 初めてでした。

 

書誌の生成とエクスポートは問題なく使えそうですか。

伊藤先生 APAとMLAという2種類の引用形式で生成できますね。この形式は、一般的に広く欧米圏で使われている論文の引用形式ですし、サイテーションとしては問題ありませんでした。ただ、気になったことが2つありました。1つはURLがちょっと長いということです。論文はどうしても字数制限があるため、字数を減らしたいという気持ちが著者にはあります。もう少し短い形式の方が望ましいと思います。それから、APAの方はサイテーションにGaleの名前が入っていなかったので、自分で入力しました。Gale eBooksと入っていた方が良いのではないかと、思いました。

 

サイテーションにデータベース名まで入れないのが、APAの引用方式なのでしょうね。今、Galeの名前を記入したと、おっしゃいましたが、論文の引用の際は、データベース名まで入れるのでしょうか。

伊藤先生 もともと紙媒体のものですから、紙媒体と全く相違がなければ、問題ないように思われるかもしれまんが、出所をはっきりさせるためには、どのデータベースから取ってきたかを明らかにしておくことが必要です。

 

Gale eBooksはすでに紙媒体として存在しているレファレンスを電子化したものだという意味ではeブックのプラットフォームですが、同時にデータベースという性格も持っています。データベースという側面に注目すれば、最初のページから読むというより、検索をかけるという性格のものだと思います。その場合の一番のメリットは複数のeブックを同時に横断検索できるということです。Gale eBooksの検索機能についてはどのような感想をお持ちでしょうか。

 

異なる分野のレファレンスを同一画面上で一括検索できるのは、Gale eBooksの最大の武器ですし、時間の短縮という意味でも有意義です

 

伊藤先生 ご指摘の通り、横断検索がGale eBooksの最大のメリットですね。先ほどあげた事典を例に挙げると、Crisis Managementという用語を検索にかけると、検索結果の論文で含まれる情報量も多いですし、アメリカの事典は特にそうですが、Further Readingという更に知識を広めるための文献もリストアップされています。紙媒体であれば全部ひとつずつ書架から引っ張り出してきて、それをめくっていかなければいけないわけですけど、異なる分野のレファレンスを同一画面上で一括検索できるのは、Galeの最大の武器ですし、利用者にとっては時間の短縮という意味でも有意義です。それから、詳細検索機能を使えば、絞り込みをかけることもできるわけで、広範な範囲から知識を取ってくることも、自分の専門分野に特化する形で探すこともでき、ユーザビリティが非常に優れていると思います。

 

Gale eBooksのトップページは基本検索で、絞り込みをかけずに検索ボックスに検索ワードを入れるという形での利用を想定しているのに対して、詳細検索ページでは予め様々な絞り込みをかけることができます。先生は主にどちらをお使いになりましたか。

伊藤先生 トップページの基本検索を主に使いました。トップページで検索し、検索結果ページで絞込みをかけました。

 

基本検索画面で検索し、検索結果ページで絞込みをかけるか、詳細検索ページで絞込みをかけて検索するか、Gale eBooksはどちらでも利用者がお好きなようにお使いいただけます。

伊藤先生 意図したものとは違うものが検索結果に出てきてしまう場合は、詳細検索ページに切り替え、使っていました。

 

Gale eBooksには、探している記事が予想もしていなかったタイトルに含まれていた、という意外な発見ができるメリットがあります

 

一般的にレファレンスのタイトルだけ見ても、中に収録されている記事までは分かりません。タイトルからは想像できないような記事が含まれていることもあるでしょう。Gale eBooksの優れているもう一つの特徴は、様々な分野のレファレンスを搭載しているが故に、予想もしていなかったタイトルに探している記事が含まれていた、という意外な発見ができる点ではないかと思います。今回お使いになって、そのような意外な経験はありましたか。

伊藤先生 そこがGale eBooksの最大のメリットの一つだと思いますが、今回利用した限りでは、そのような事例はありませんでした。私の研究領域でもそうですが、現在の学術的な動向として、学際的になってきています。特に、情報処理系、IT系のレファレンスがあれば、多くの研究領域の人が使うようになるのではないかと思います

 

Gale eBooksは従来、PCのみでの閲覧を念頭においていましたが、スマートフォンやタブレット端末のサイズに合わせて、画面の表示ができるようになりました。今回のトライアルでは、PCでお使いになりましたか。

伊藤先生 基本的にはPCですが、8インチのAndroidのタブレット、12インチのWindowsタブレットでも使いました。

 

タブレットでお使いになって、使い勝手や不自由はありましたか。

伊藤先生 ありませんでした。

 

これは川島先生にお聞きしたほうがいいかも知れませんが、学生はよくスマートフォンをお使いだと思いますが、大学が契約しているデータベースを学生がスマートフォンで利用することは多いのでしょうか。

 

出版社や教員がスマートフォンに期待している教育的効果を実現するには、まだ工夫の余地があります

 

川島先生 スマートフォンの学生への普及率は、ほぼ100%と言える状態です。ただ、スマートフォンでデータベースを利用しているかというと、そこまでには至っていません。データベースを使うより、Wikipediaで済ませてしまうことが多いようです。出版社や教員がスマートフォンに期待している教育的効果を実現するには、まだ工夫の余地が多いと思います。

 

スマートフォンで学生がデータベースを利用するというところまでは至っていないとことですね。

川島先生 もちろん、利用する学生がいないわけではありませんが、それが標準とは言いがたい、ということです。

伊藤先生 本学は留学生が多いです。留学生を含め、英語で行なう授業を受講している学生は、iPadやAndoroidのようなタブレット端末やスマートフォンでデータベースを検索し、論文を探して読むことに慣れています。それに比して、日本人の学生の間には、まだそのような使い方が十分に浸透していないように思います。

 

学生でも留学生と日本人学生では相違がある、と。

伊藤先生 かなり差があります。

 

Galeのインターフェースについては、いろいろご意見があると思いますが、いくつか挙げていただけますか。

伊藤先生 今回、スマートフォンでも、利用してみました。ただ、PCの縮小版という印象を持ちました。検索するには虫眼鏡の部分を押す必要がありますが、最初はどのように検索するのか、よく分かりませんでした。画面がレファレンスの表紙イメージで覆われてしまうため、どのように使ってよいか分かりにくいという印象を持ちました。ユーザビリティを優先したレイアウトの工夫がもう少し必要ではないか、というのが率直な感想です。

 

表紙イメージが画面を覆ってしまうということですが、むしろ文字情報としてタイトルを押し出したほうがいいということですか。

 

バーチャルな書棚が具現化できていて、見た目にもとてもきれい

 

伊藤先生 端末次第だと思います。PCやタブレットの大きいものは画面が大きいので、気になりません。気にならないどころか、バーチャルな書棚を具現化できていて、見た目にもすごくきれいでいいと思います。それに対して、スマートフォンは画面のサイズが小さいため、そのメリットが出にくいような気がします。スマートフォンで調べるのは、とっさに何か調べたいという場合が多いと思います。そうすると、やはりすぐ検索できるレイアウトになっている方が使いやすいと思います。

 

その他はいかがでしょうか。

 

契約しているタイトル一覧をデータベース画面で確認できるのはありがたい

 

伊藤先生 契約しているeブックのタイトル一覧リストをダウンロードする機能があります(”Title List”)。図書館がホームページで掲載している場合もありますが、Gale eBooksではデータベース画面で確認できるので、とても有難いです。しかし、トップページの上部にあるツールバーの”More”をクリックしないとメニューのアイコンが見えないため、気づかない人が多いのではないでしょうか。また、タイトル一覧リストをソートする機能もあり、出版物タイトルや出版日でソートできますが、タイトル先頭のアルファベット毎に分類して表示する、あるいはアルファベットで絞り込み表示するということはできなかったと思います。このあたりも改善の余地があるのではないかと思います。さらに、トップページのeブックタイトルのサブジェクトの中に”Social Science”というのがありますが、広すぎます。”Social Science”でも、”Business”や”Law”は独立したサブジェクトを設けられていますが、その他にも、”Political Science”、”International Relations”、”Sociology”など、いろいろな分野があります。これらも独立したサブジェクトを設けた方がよいと思います。

 

最後の点については、Galeが搭載するeブックのタイトル数は約15,000点ですが、購入契約は1タイトル単位でできます。日本に限って言えば、導入タイトル件数は、多い大学でも数百、少ない大学であれば数十ぐらいです。そこまでのサブジェクトの細分化は今のところ必要ないだろうという判断で、このような粗い分類体系になっています。今後、導入タイトルが増えてゆけば、今おっしゃったような分類の細分化が必要になってくるかも知れません。

伊藤先生 エンドユーザーの視点から言えば、やはり自分の専門分野のタイトルを探したいという要望があるので、サブジェクトの中では自分の研究に関係するものを探します。サブジェクト自体がないと、自分の研究に関係するタイトルはないと、諦めてしまう可能性があります。ユーザーが逃げてしまうことがないような工夫が必要ではないかと思います。そのあたりはインターフェースの設定の問題なので、難しくはないのではないでしょうか。それから、インターフェースに関して少し細かいことになりますが、Galeではサブジェクトのコラムがトップページの右側にありますが、一般的には左側に置くデータベースが多いように思います。

 

その点は初めて伺いました。

 

 

日本でGoogle Driveとの連携のメリットを生かすにはもう少し工夫が必要かも知れません

 

伊藤先生 私が普段利用するウェブブラウザやデータベースではブックマークなどを左側に置くことが多いので、その方が見やすいというだけの話です。それから、GaleはGoogle Driveと連携してデータを保存できるようになっていますね。でも、この機能は日本の市場では難しいかも知れません。欧米圏では重宝されるでしょうが、日本では個人アカウントを大学などの機関が提供するデータベースと紐付けることを好みません。Gale eBooksの機能を、クラウドでのデータ保存機能まで拡張し、すべてをウェブ上で完結させようとして、Google Driveとの連携を始めたということだと思いますが、日本ではなかなかそのメリットを生かしきれないのではないかという印象を持っています。日本で始めるにはもう少し一工夫が必要でしょう。

 

Googleとの連携は、教育の現場でGaleやほかのデータベースをシームレスに使っていただくために始めたわけですが、やはり主としてアメリカの市場での利用を想定しています。日本の大学教育の現場でGoogleのアカウントを使うというのは、まだ一般的ではないということでしょうか。

伊藤先生 そうですね。ちょっと抵抗があると思います。Googleのサービスを導入している大学では、大学から割り振られたアカウントを持っているため抵抗がないかも知れませんが、日本のGoogleユーザーの大半は個人でアカウントを持っているだけでしょう。大学のデータベースと連携できると言っても、個人ユーザーは使うのをためらうのではないでしょうか。クラウドにおけるデータ保管ということで言えば、他にもOne DriveやDropboxがサービスを提供しているので、 Google以外の選択肢があっても良いと言う人も出てくるかもしれない。あるいは、大学のクラウドサービスとカスタマイズで連携させるというのも一つの方法かなと思います。

 

データベースとしての Galeから離れますが、Gale eBooksに搭載されているeBookは、 もともと紙媒体の刊行されていたレファレンスですが、これらの紙媒体のレファレンスは、普段研究の中でお使いになっていますか。

 

欧米のレファレンスは、キーワード検索から必要な知識だけでなく関連文献情報までも入手することができ、研究構想を立てる時のツールとして大変役に立ちます

 

伊藤先生 使います。ただし、日本のレファレンスはあくまで最初のちょっとした確認に使うに止まります。これを使って何か更に進めていくというようなことではありません。辞書の使い方にちょっと近いです。それに対して、欧米のレファレンス、特に冒頭に名前を挙げたEncyclopedia of Crisis Managementのように比較的学界でも有名なレファレンスは、例えばクライシスマネージメントという用語を調べ、その記事に載っているFurther Readingで紹介されている文献に当たって、知識を深めていくというように、キーワード検索から必要な知識だけでなく関連文献情報までも入手することができ、研究構想を立てる時のツールとして使っています。これは日本のレファレンスにない利点です。

 

非常に重要なご指摘だと思います。それに関連してですが、一口に研究資料と言っても様々です。先生の専門である政治学に限定しても、書籍や雑誌、新聞から議会資料、政府文書のような公文書から、政治家の書簡や日記のような私文書までいろいろあります。これらの資料の利用目的は非常にイメージしやすいですが、レファレンスはどういう使い方が具体的になされているのか、あるいはなされるべきなのか、分かりにくい面があると思います。レファレンスの利用目的はどのようなところにあるとお考えですか。

 

レファレンスを利用する最大の目的は、先行研究を調べることと、専門用語の定義を確認することです

 

伊藤先生 最大の目的は、先行研究を調べることと、専門用語の定義を確認することです。私も川島先生も、研究の構想を立てると、海外の研究を中心に調べることになります。そうなると、海外での用語の定義がどういう風になされているか、確認しておかないと、自分の論文の中で用語を使用するときに思わぬ誤解を招く危険性もあります。その危険性を避けるために、自分の研究領域で一般的に行なわれている用語の定義や他分野での用語の定義を確認するというのが、レファレンスを利用する最大の目的です。

 

それらの効用は、日本のレファレンスでは代用できないのですか。

伊藤先生 難しいです。日本の学術研究では、欧米圏に比してレファレンスの発展があまり進んでいません。アメリカでは、ハンドブックやイントロダクションやエンサイクロペディアのような、専門家と研究者が英知を結集して、非常に緻密なものを作っています。研究資料としても十分に読むに堪え、論文の中で用語の定義を書く際に使うような用途にも対応できるレベルの出版物を提供しています。日本では残念ながら、その種の出版物を見つけることができません。

川島先生 私は、レファレンスのような参考資料も多いほうがいいという考えです。当然日本語のほうが読みやすいわけですから、日本語のものも参考にしますし、英語のものについても関心があるものについては使います。

伊藤先生 私たち研究者も、普通にGoogle検索もしますし、Wikipediaも見ますが、情報が必ずしも正確とは言えない面があります。その点で、レファレンスはその道の専門家が書いているので、信頼に足る情報を提供しているという点で、依拠することができます。

 

私どもがレファレンスを案内するとき、先行研究を調べる入り口として非常に使い勝手がいいということはこれまでの販促活動の中で強調してきましたが、定義をきちんと確認するためにレファレンスを使うという視点は欠落していました。今後の販促の参考にさせていただきます。

 

レファレンスは知識の偏りをなくすという意味でも非常に重要なツールです

 

川島先生 もう一点付け足すと、レファレンスは知識の偏りをなくすという意味でも非常に重要なツールです。日本の学界には苦労を美徳とする文化が若干残っていて、レファレンスに対する偏見があるように感じます。学部生の頃の話ですが、私自身、レファレンスで片付けるとは何事だ、と怒られたことがあります。でも今はいろいろな情報を使えますから、レファレンスを使うことによって、自分の知識の偏りを修正する、定義の確認ということと関わってきますが、学界の中心と自分の立ち位置との距離感を計り、必要に応じて自分の立ち位置を修正するツールとしてレファレンスは便利だと思います。

 

Gale eBooksは全国で約80機関に導入されています。もっと多くの機関で導入されるよう希望していますが、今おっしゃったことは非常に重要ではないかと思います。これまでGale eBooksを導入いただけるよう働きかける中で、レファレンスに対する偏見という見えない壁を感じてきました。レファレンスで片付けるとは何事だ、と言われたとのことですが、やはり偏見があるのでしょうか。

川島先生 難解な外国語の本と何年も格闘されてきたような年配の先生方にとっては、簡単にレファレンスで片付けられると、それは研究対象の本質に迫れていないのではないか、と感じる先生は非常に多いと思います。

 

伊藤先生も川島先生も、おそらく学部生や大学院生のときは、そういうレファレンスに対して偏見のある環境の中でトレーニングを受けてこられたわけですね。しかし、今ではレファレンスを重要な研究資料の一つとしてお使いになっています。どのような過程でレファレンスの有用性に気づかれたのでしょうか。

 

英語圏のレファレンスには必ず知識を広めるための文献紹介があると知ったのが、レファレンスに対する認識を改めるきっかけになりました

 

伊藤先生 私の場合は、基本的に英語圏のレファレンスに限定されますが、レファレンスには必ずその知識を広めるためのさらなる文献紹介があると知り、使い勝手が良かったという経験をしたことが、レファレンスに対する認識を改めるきっかけになりました。レファレンスを表立って使うことは実際のところ難しいわけですが、隠れた研究ツールとして使う分には十分魅力あるものだと認識していましたので、違和感なく使うことができました。

 

ただ、そのようにレファレンスを使う先生方はまだ少数派である、ということでしょうか。

伊藤先生 日本の大学は、徒弟制度的なところがあって、研究の技術は基本的に師匠から弟子に伝承するという要素がまだ残っています。ですから、レファレンスを嫌う先生の下でトレーニングした研究者は、その影響を受ける傾向にあります。もう一つ、先生方がレファレンスを嫌う理由は、紙媒体のレファレンスに載っている情報が古いということです。電子化されることで、改版のスピードが速くなれば、情報が更新される頻度が多くなるわけで、その点で使い勝手がよいということがもっと伝われば、レファレンスに対する認識も変わるかも知れません。

 

10年前のレファレンスは、刊行後10年間の学界での研究を反映していないわけで、その情報に古さを感じるのは止むを得ないと思います。しかし、最新の情報を提供するのは雑誌の役目で、レファレンスに速報性を期待するのは難しいかも知れません。レファレンスの本来の強みは速報性とは別のところにあるわけで、その強みをご理解いただいた上で、雑誌との使い分けをしていただくしかないと思います。ただ、学術雑誌とレファレンスの相違と言われても、学生は分からないのではないでしょうか。学生にレファレンスの独自の価値を伝えるとすれば、どのように説明なさいますか。

 

これまでの研究を概観し、将来の研究に繋げる役目をするのがレファレンスです

 

川島先生 どんなテーマであれ、そのテーマに関するこれまでの研究を概観し、将来の研究に繋げる役目をするのがレファレンスである、だから、研究の第一歩で使ってそのテーマに関するこれまでの研究の概要を理解するのに最も便利なツールである、ということになるでしょうか。私自身も授業では、学生にレファレンスを引かせています。

 

それは英文のレファレンスですか。

川島先生 いえ、日本語のレファレンスです。

 

Gale eBooksをお使いになった印象として、英語の水準も含め、学生に十分お薦めできると思いますか。

伊藤先生 率直に申し上げれば、大学院修士レベル以上です。学部生でも、英語を専攻している学生であれば利用することはできるでしょうが、一般的な学部の学部生にはちょっとハードルが高いと感じました。

川島先生 同意見です。大学院修士課程以上か、英語を苦にしない学部生、意欲のある学部生といったところでしょうか。それ以外の学部生には難しいでしょうね。

 

研究資料としてではなく教育資料として授業で使う可能性については、どうでしょうか。今のお話を聞くと、学部の授業では難しいかも知れませんが、大学院の授業ではどうでしょうか。

伊藤先生 学部生の授業では難しいと思いますが、修士課程以上の大学院生の授業で使うことはできると思います。Galeのレファレンスを紹介し、次週で使うテーマに関する用語について調べることを課し、さらに記事のFurther Readingに収録された文献も読んでくるように指示するという使い方が考えられます。

 

レファレンスに収録されている記事の英語のレベルとその分量を見れば、引いてしまう学生はいると思いますが、レファレンスで使われる言葉や概念に注目するという利用の仕方もあると思います。欧米で生まれた言葉や概念が日本に届くまでには、一般的にはタイムラグがあります。今年(2015年)、日本のメディアで市民権を得た言葉として、LBGTがあります。しかし、2003年に小社からEncyclopedia of Lesbian, Gay, Bisexual and Transgender: History in Americaという百科事典が刊行されたように、この言葉はアメリカではすでに10年以上前に広く使われていたことが伺えます。この事典には約500の項目が収録されていますが、第3巻には”Systematic Outline of Contents”というものが掲載されていて(321ページから325ページ)、すべての見出し語が13の分野の下に分類されています。これを見ると、LGBTという概念の広がりが分かるとともに、この概念を体系的に理解することもできます。”Systematic Outline of Contents”のようなものは、欧米のほとんどの事典に掲載されていますが、事典の骨格が良く理解できる大変便利なツールです。

伊藤先生 その通りだと思います。

 

Gale eBooksに収録してほしいタイトルや分野があれば、ご指摘いただけますか。

 

研究や学習を始めるための手引書になるイントロダクションやハンドブックの類を加えて欲しい

 

伊藤先生 今でも相当数のコレクションが収録されていると思います。我々の専門である危機管理の研究は決してメジャーな分野ではありませんが、少なくとも2つのメジャーなエンサイクロペディアが収録されていることを考えれば、個人的には十分かな(笑)、と思っています。敢えて言えば、研究や学習を始めるための手引書になるイントロダクションやハンドブックの類ですね。アメリカ外交史研究で有名なものにAmerican Foreign Relations Since 1600: A Guide to the Literature (Ed.by Robert L. Beisner, ABC-Clio)という本があります。アメリカ外交史研究の初学者や大学院生は必ず目を通すべきものと言われています。20世紀のアメリカ外交史研究には必須の本です。どういう本かというと、全体が主題別に分かれていて、主題ごとに読まなければならない文献を列挙し、個々の文献には内容の抄録が付いています。2巻あって、総ページ数は2,000ページを超えます。とても持ち歩けるようなものではない。でも、授業中に関連の論文が出てきて、その論文を探そうと思ったときに、Gale eBooksにその論文が収録されていれば、端末をたたけば済むわけです。それから、もう一つ、U.S. Foreign Policy and National Security: Chronology and Index for the 20th Century (Ed. By Robert T. Davis II, Praeger Security International)という本もあります。これは、20世紀のアメリカ歴代政権の外交安全保障政策の重要なドキュメントを列挙し、公文書のレコード名も示している大変便利なものです。

 

最初の本はABC-Clioから刊行されていますね。ABC-Clioの本はGale eBooksに多数入っていますが、入っていませんでしたか。

伊藤先生 入っていませんでした。2つ目の本も入っていません。

 

Gale eBooksの収録タイトルは出版社によってばらつきがあります。出版社と交渉して、条件が折り合えば入るわけですが、そうでないものは、残念ながら利用できません。SageやABC-Clioはタイトル数が多い方です。私自身は、Routledgeがもっと入ってくれば、と思っています。

伊藤先生 それから、危機管理系では、Butterworth-Heinemannですね。この出版社からも、初学者が参照するイントロダクション・シリーズが出ていますが、こういう本がGale eBooksに入ってくれば、よいですね。英語圏の本は分厚く、持ち歩くのに苦労します。英語圏の大学でデータベースが普及した最大の理由はそこにあると思います。日本の教科書は比較的手軽で薄いものが多いですし、授業で指定するものも基本的に薄いものです。だから、授業で利用するものは紙媒体が中心になってしまうのではないかと思います。

 

日本とアメリカでは教科書の厚さが違うということですね。

伊藤先生 違います。学生が読む量も違います。

 

アメリカでは最初の授業で読んでおくべきリストが渡されますが、そこではたくさんの本がリスト化されています。それらがすべて電子的に読めるのであれば、データベースの普及が早まるのは当然ですね。

伊藤先生 そうですね。教科書を本屋に買いに行く必要はないわけですから。タブレットで読めるというのは大きいです。アメリカの授業の風景を見ていると、タブレット端末が机の上に置いてあります。日本の授業ではこういう光景はあまり見られません。

 

やはり、データベース以前の教育基盤の部分が異なるわけですね。

伊藤先生 そうです。教育環境が日本とアメリカでは著しく異なるということですね。

 

最後にGale eBooksに対する全般的なご要望があれば、お聞かせください。

 

日本の大学での利用促進を考えるとすれば、日本語のレファレンスや入門書を加えることが不可欠です

 

伊藤先生 Further Readingに挙がっている文献にリンクが張られ、全文にアクセスできるようになればいいと思います。せっかく列挙されていても、別の検索サイトで探さなければならないというのは手間です。それから、先にも話題になりましたが、日本の大学での利用促進を考えるとすれば、日本語のレファレンスや入門書を加えることが不可欠ではないかと思います。Gale eBooksに搭載されているタイトルリストをダウンロードしてみましたが、中国語の本は入っていますが、日本語の本は入っていません。

 

アジアのローカル言語をGale eBooksに加えるという発想は前からありまして、4年ほど前にようやく中国語のコンテンツが加わりました。ただし、中国語以外のコンテンツに関しては、今のところ具体的な計画はありません。

伊藤先生 利用者の裾野を広げるということになると、大学院生だけでなく、学部生の利用まで考える必要があると思います。現状でもコンテンツは非常に素晴らしいですが、学部生向けに使うのは難しい。そうなると普及促進が遅くなる。日本の学生でも気軽に使えるものとして、日本語のコンテンツは欲しいところです。

 

Gale eBooksは、レファレンスだけでなく、モノグラフも入っています。ElsevierやSpringerが出版しているSTM系のモノグラフが中心ですが。それ以外に要望はございますか。

 

ラーニングコモンズなどで電子リソースの利用促進をはかることが必要になるのではないかと思います

 

伊藤先生 大学の図書館も研究室も環境が変わりつつあります。名古屋大学の中央図書館もそうですが、いままでレファレンスブックが置いてあったコーナーを片付け、ラーニングコモンズという学習スペースに変えました。いま、どこの大学も欧米圏の大学の影響を受けて、ラーニングコモンズを拡大する傾向にあります。ラーニングコモンズは学習スペースを提供するわけですが、紙媒体の事典類がなくなってしまったため、それを埋めるものとして電子リソースが必要になってきます。ただ、電子リソースは学生の認知度も非常に低く、図書館もどうアピールしてよいか分からず、扱いに困っています。講習会はよく開かれていますが、それでも使い方がわからないという利用者が多く、学内での普及が進んでいないのが現状です。Gale eBooksのようなレファレンスの電子リソースを、ラーニングコモンズなどで利用してもらえるよう促進をはかることが必要ではないかと思います。

 

ラーニングコモンズでは、電子リソースのデモンストレーションもできるわけですね。

伊藤先生 留学生は電子リソースを積極的に使います。でも日本人学生はまだ十分に活用できていないように思えます。日本人学生に学習法や研究法を実践して見せることが必要です。パンフレットではなく、電子リソースを使って具体的に見せることです。教員にも、図書館にも、それを行なうだけの時間的余裕はありません。版元がそのようなことを企画し、実践することが、販路と利用者の裾野の拡大に繋がると思います。

 

図書館の方々から、そういう声を聞くことがあります。研究用のデータベースを導入しても、なかなか使っていただけないので、利用の促進を図っても、研究者との連携が図りにくいということを聞いたことがあります。そのようなときに、商談で研究者を訪問する出版者や書店の力が役にたつということのようです。

伊藤先生 アメリカの大学図書館の役割は変わりつつあります。ロー・スクールの図書室であれば、専門の先生に文献やデータベースのリスト化・解説の面で手伝ってもらい、学生が利用できるようにガイダンスをやります。図書館員が学生に対してコンサルタントのような役割を演じているのです。専門分野のバックグラウンドを持った人を図書館のスタッフとして集めているので、学生の相談を受けて、解決方法を提示したり、大学院生の論文執筆のアドバイスをするような、ソリューション的なことをやっています。これまでは、本の貸し出し、データベースの提供、あるいは学習スペースを提供する場だったわけですが、そこから一歩踏み込んで、学生が学ぶプロセスに深くコミットしているような印象を受けます。日本の図書館はまだそのような場所にはなっていないと思います。Galeはそういうところで強みが発揮できるはずです。いずれにせよ、図書館そのもののあり方を変えていくということがないと、今ご指摘があった悩みの解消にはつながっていかないのではないかなと思います。

 

欧米の大学図書館は、サブジェクトライブラリアンという特定の分野に強い人がパスファインダー的な役割を担っていますね。

伊藤先生 図書館で教員レベルの知識を持った人が専門職に就いているのは強みですね。

日本の図書館では、図書館の運営をする方々です。本や電子リソースを提供はしますが、その先ということになると難しいとなるわけです。欧米圏の図書館スタッフならば、研究経験のある人も多く、どういうニーズがあるか具体的に分かるため、パッケージにして情報を提供することができます。この差は大きいです。

 

その中で我々版元や書店が、お手伝いしながら、利用を高めていくようにできればいいのですが。

 

商品とその使用環境を丸ごと含めたものをパッケージングして販売するという方向に向かっていくほうが、利用は高まると思います

 

伊藤先生 これは大学の視点ではなく、利用者の視点に立ってのことですが、商品とその使用環境を丸ごと含めたものをパッケージングして販売するという方向に向かっていくほうが、利用は高まると思います。

 

データベースの場合は、アフターセールスが重要だと思っていまして、これは一出版社を超えている問題で、他の出版社とも連携する必要があります。

伊藤先生 そうですね、業界全体の話になってくると思います。そういった意味では、図書館総合展のようなイベントが頻繁に大学の中でもあると、研究者や学生にとっても、いろいろなデータベースやツールを比較できて、有益な機会になると思います。

 

図書館総合展は研究者や学生にとって刺激的な経験になると思いますか。

伊藤先生 なります。間違いなく(笑)。私は今年初めて伺いましたが、刺激的で面白いイベントでした。初めて見るサービスもありました。電子書籍のプラットフォームがこれだけ増えているとは思いませんでした。ただ、これが大学レベルまでは落ちてきていません。そもそも、図書館総合展というイベントを知っている研究者や学生は非常に少ないでしょう。

 

図書館情報学の研究者ぐらいでしょうか。

伊藤先生あの種のイベントを積極的に宣伝して、研究者に見に来てもらうのは、面白い試みではないかと思いました。

 

電子リソースについて学生を指導する、学習法や研究法も含め、オリエンテーションを行なう必要性は感じているものの、研究者も図書館の人も忙しくて時間を割くのは難しいというお話でしたが、そのようなことが学会の場で問題意識として話題に挙がる機会はありますか。

伊藤先生 ないです!セッションを時間厳守で終わらせることに必死で(笑)、そこまでは考えていません。

 

公式の学会の場でなくても、内輪で話題にあがることはないですか。

伊藤先生 内輪の話でも出ないです。問題意識として持っている人はいますが、どうやって解決するか考えたとき、無力感に襲われるのだと思います。みな、どうしていいか分からない、というのが本音です。解決法とそれに伴うコストが懸念材料としてあります。アメリカで教育や研究の経験をお持ちの先生は、アメリカ流の方法を取り入れることに積極的だと思いますので、そのような先生方に話しを伺うのも一つの方法かも知れません。

 

海外に投稿する論文の数が減っているというのが話題になりますけど、研究法や学習法や電子リソースの利用法に関する体系的なオリエンテーションを行なうことも、投稿を増やすことの一助になるのではないでしょうか。

伊藤先生 そうですね。戦略的に論文を出していくということが日本の教育システムには組み込まれていません。

 

私どもも、アフターセールの利用促進に関しては、課題として認識していますが、十分にできていません。

伊藤先生 海外で活躍している比較的若手の研究者を集めて、商品の販促とワンセットにしたセミナーを開催するというのも、考えられると思います。

 

今日は、どうもありがとうございました。

 

 

※このインタビューを行なうに際して、極東書店様のご協力をいただきました。ここに記して感謝いたします。

ゲストのプロフィール

伊藤 潤(いとう じゅん)

最終学歴:

名古屋大学大学院法学研究科博士課程修了 (博士[法学])

略歴:

名古屋大学大学院法学研究科研究員(2016年2月現在)

論文・学会発表等

  • 「『提督たちの反乱』とルイス・A・ジョンソン:米国の国家安全保障法下におけるシビリアン・コントロールと国防長官の役割」(防衛学研究 39, 2008)
  • 「米国の国家安全保障会議(NSC)の起源:トルーマン政権におけるNSCの実態と組織柔軟性に関する一考察」(名古屋大學法政論集 236, 2010)
  • (共著)「自治体間連携からみる地域防災計画」(名古屋大學法政論集 259, 2014)
  • 「米国の連邦災害対策における政軍間調整メカニズム」平成26年度日本防衛学会(秋季)研究大会 2014.11.29, 防衛大学校

 

川島佑介(かわしま ゆうすけ)

最終学歴:

名古屋大学大学院法学研究科後期課程修了 (博士[法学])

略歴:

名古屋大学大学院法学研究科 研究員

名古屋外国語大学外国語学部 他 非常勤講師 (2016年2月現在)

論文・学会発表等

  • 「生活保護行政と福祉マグネット」(季刊行政管理研究151, 2015)
  • 「ロンドン・ドックランズ地区の再開発の論理基盤――グローバル化時代の都市間競争という視角から」(都市問題 第101巻第4号, 2010)
  • 「地区計画の理念と運用実態の変遷~事例研究:名古屋市~」(都市問題 第97巻第9号, 2006)
  • (共著)「自治体間連携からみる地域防災計画」(名古屋大學法政論集 259, 2014)
  • 「各層政府の政策志向と政策内容の形成および変化――事例研究:ロンドン・ドックランズ地区再開発」日本比較政治学会2014年度研究大会 2014.6.24, 東京大学
  • 「都市再開発から世界都市の建設へ(1)――ロンドン・ドックランズ地区の経験」(名古屋大學法政論集 261, 2015)
  • 「都市再開発から世界都市の建設へ(2・完)――ロンドン・ドックランズ地区の経験」(名古屋大學法政論集 262, 2015)

ほか