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State Papers Online Colonial: Asia
- 2024年10月24日に第3集をご紹介する無料ウェビナーを開催します!
シリーズは英国国立公文書館が所蔵するイギリスの旧植民地省の東アジア・東南アジア関係文書を提供するものです。現在3パートが既刊で、第1集は「東アジア・香港・威海衛(Far East, Hong Kong, and Wei-Hai-Wei)」、第2集は「シンガポール・東マレーシア・ブルネイ(Singapore, East Malaysia, and Brunei)」、第3集は「英領マラヤ(Malay states, Malaya, and Straits Settlements)」を対象とします。
長く内政と外交を管轄する国務大臣の下に置かれていた植民地行政は、1768年の植民地担当大臣職の創設により、専任大臣の管轄下に置かれるようになりました。1782年の行政機構改革により国務大臣職は廃止され、内務省と外務省が創設され、植民地行政は内務大臣の管轄下に置かれました。1801年には陸軍・植民地担当国務大臣に移管されます。そして、1854年に陸軍と植民地の行政機関が分離し、植民地行政は植民地のみを管轄する植民地省によって担われるようになりました。18世紀後半から19世紀半ばにかけて、内政、外交、軍事から分離独立した植民地行政が形を整え、さらにその後、世界の広大な地域が英領植民地としてイギリス帝国に編入されるに伴い、植民地省は規模と権限を拡大、帝国行政を支える基幹行政機関となります。しかし、第二次大戦後の脱植民地化の中で植民地省とコモンウェルス省が合併し、コモンウェルス省となり、さらに外務省とも合併する中で、植民地省は歴史的役割を終えます。
本データベースは東インド会社が独占的な貿易に従事していた植民地省創設以前の近世から、植民地省が有力な政府機関としてイギリス帝国の植民地行政を担った帝国主義時代を経て、脱植民地化の時代に至る文書群を収録し、HTR(手書き文字認識)・OCR(光学文字認識)によるフルテキスト検索を可能にすることで、400年にわたる英国のアジアとの交渉の歴史に植民地統治の視点から光を当てる画期的な電子リソースです。
収録文書は、植民地統治、植民地の周辺地域の国際情勢、植民地住民の生活実態を克明に記録します。英国による植民地統治の実情だけでなく、英領植民地でない国・地域の動向をも記録する文書群として、英国政府文書としては外務省文書と双璧をなすものです。東アジアの英領植民地は、最も拡張した時代でも香港、シンガポール、マレー半島等、一部の地域に限られました。その外部の中国、朝鮮、日本等の国々は政治的には主権を維持しつつ、経済的にはイギリス帝国の圧倒的影響下に置かれていました。とりわけ広大な市場である中国の動向には植民地省も無関心ではいられませんでした。収録文書には、これらの英領植民地以外の地域事情に関する多くの文書が収録されています。
中国をはじめとする東アジア地域の従来の歴史研究においては、英領植民地を対象とする場合を除けば、主として外務省の文書が利用されてきました。植民地省のアジア関係文書が包括的に電子化され、広く利用されるようになることは、これまで外務省文書によって描かれてきた英国とアジアの交渉史を再検討することに繋がります。同じイギリス帝国の行政機関でありながら、対外政策を巡り角逐することもあった植民地省の文書と外務省の文書を突き合わせることによって、新しい東アジアの歴史像への道が切り開かれます。
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第1集:東アジア、香港、威海衛 State Papers Online Colonial: Asia, Part I: Far East, Hong Kong, and Wei-Hai-Wei《2022年9月既刊》
《第1集についてのウェビナー録画を見る》
(約39分、字幕・チャプターあり・スライドはこちらから)
《第2集についてのウェビナー録画を見る》
(約42分、チャプターあり・スライドはこちらから)